アンテナコイルLF帯RFIDの基礎知識

LF帯RFIDとは?

LF帯RFIDは磁界を用いた通信であり自動車のスマートキーなどに用いられています。
磁力線がコイルを貫くと、磁束密度に応じてコイルに誘起電圧が生じます。
LF帯RFIDではこの現象を利用し信号のやり取りを行います。

また磁界は反射や回折の影響が少なく、送信アンテナを中心に等間隔な通信エリアを作るため強度を測定することで送受信間の距離を測位することができます。

  • 誘起電圧eのイメージ画像
  • 送信アンテナのイメージ画像

LF通信の特徴

① 高い精度で距離の測位

LF帯RFIDでは送信アンテナから発した磁界を受信アンテナが受け、通信を行いますが磁界の強度は送受信間距離の-3乗に比例するため、信号強度によって送受信間の距離を測位することが可能です。

  • 信号強度と距離の関係のイメージ画像1
  • 信号強度と距離の関係のイメージ画像2

村田製作所では距離の測位精度の高さを実感していただくため位置測距デモキットの紹介を行っています。
詳細はお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

② 電池の節電

LF帯RFIDでは受信アンテナが磁界を受信した時、システムをアクティブにし、それ以外の時はスリープモードにすることができるため受信機器の節電をすることが可能です。

また他通信手法に比べLF帯RFIDはスリープモード時の消費電力が少ない特徴があります。

③ 安定した通信

LF帯RFIDは磁界を用いた通信であるため、人体や水の影響を受けず、金属から受ける影響も他通信方法に比べ優れており、再現性の高い距離の測位が可能です。

他測位技術との比較

LF BLE UWB
周波数範囲 30~300Khz 2.4GHz 3.1~10.6GHz
測距精度

5cm

1m 10~15cm
検知距離

2~5m

10m 50m
干渉影響 低い 低い
マルチパスフェージング 極めて低い 高い 低い
ブラインドスポット 無し 有り 有り
電力消費(一般)

10mW
15uW(待機時)

50mW
10mW(待機時)
450mW

アンテナコイルの役割

LF帯RFIDにおいてアンテナコイルは磁界の送信(電気 → 磁界)と受信(磁界 → 電気)の役割を持ちます。
送信アンテナは効率よく磁界を送信するためLC直列共振回路として使用され、受信アンテナは効率よく磁界を受信するため、LC並列共振回路に使用されます。
また受信アンテナは3次元で磁界を受信するため、3方向にコイルが巻かれています。