ノイズ対策技術 / 事例紹介(自動車)
車載機器の雑音規格CISPR25対策例(信号ライン編)
車載機器で問題となるノイズはいろいろありますが、ここではUSBの信号ケーブルから放射するノイズを例に対策事例を説明します。
※今回のEUTは車載機器ではありませんが、ノイズ状況は同様ということで一般機器を使用しています。
※USB2.0/3.0の両モードで実験しています。
EUT:Equipment Under Test
USB2.0モードでの対策内容
USB3.0規格のIFをUSB2.0相当で動作させる場合は2.0用の信号線を使用します。USB2.0の信号線はTX/RX兼用なので、この信号線にコモンモードチョークコイルを挿入します。
TX/RXラインにコモンモードチョークコイル
DLM11SN900HZ2
または
DLW21SZ900HQ2
を挿入
測定条件についてはこちらを参照ください
ノイズ測定結果(USB2.0 信号ライン対策)
DLM11SN900HZ2を使用
コモンモードチョークコイル(DLM11SN900HZ2)を追加することで、ノイズが低減(最大約37dB低減 at 垂直偏波240MHz)されました。
DLW21SZ900HQ2を使用
コモンモードチョークコイル(DLW21SZ900HQ2)を追加することで、ノイズが低減(最大約37dB低減 at 垂直偏波240MHz)されました。
フィルタ挿入時のSI適合性確認
USB2.0 Eye Diagram near
USB2.0 Eye Diagram far
USB3.0での対策内容
USB3.0のSuperSpeedでは2.0とは別の、TX/RX独立した信号線を使用します。
ここではTX信号ラインにコモンモードチョークコイルを挿入します。
TXラインにコモンモードチョークコイル
DLM11SN900HZ2
または
DLW21SZ900HQ2
を挿入
測定条件についてはこちらを参照ください
ノイズ測定結果(USB3.0 信号ライン対策)
DLM11SN900HZ2を使用
コモンモードチョークコイル(DLM11SN900HZ2)を追加することで、ノイズが低減されました。
DLW21SZ900HQ2を使用
コモンモードチョークコイル(DLW21SZ900HQ2)を追加することで、ノイズが低減されました。
フィルタ挿入時のSI適合性確認
USB3.0 Non-Transition Eye Diagram
USB3.0 Transition Eye Diagram
信号ライン対策のまとめ
PCとHDDをUSB2.0およびUSB3.0通信させ、CISPR25環境にてUSBケーブルから放射されるノイズを評価いたしました。
その結果、フィルタなしの条件では、USB2.0およびUSB3.0通信時、特に、USB2.0通信時、垂直偏波にて240MHzで約57dB(uV/m)の高いレベルの高調波ノイズを確認いたしました。
ノイズ対策としては、信号ラインに
を追加することで、USB2.0、USB3.0いずれもノイズが低減されることを確認いたしました。USB2.0ではノイズは最大約37dB(at 垂直偏波240MHz)低減されました。
コモンモードチョークコイルのセレクションチャート
信号ライン用セレクションチャート
電源ライン用セレクションチャート