無給電素子結合デバイスは、給電アンテナと無給電素子(無給電アンテナ)を本デバイスで強く結合させることで、広帯域化とアンテナ効率の向上を可能とするデバイスです。そのため、無給電素子の適用が難しい小型アンテナでも、本デバイスを実装することで、良好なアンテナ特性を得ることができます。
当社独自の多層技術によりトランスコイルを近接配置させ、磁性体を使わずに強い電磁界結合を実現。これによりアンテナ特性の改善・小型化に貢献する本デバイスを開発することができました。
無給電素子結合デバイスをアンテナ部に使用することで、広帯域化が可能です。
図3は、無給電素子結合デバイスを使用した時と、しなかった時のシミュレーションによるアンテナ特性(リターンロス)とアンテナ効率の比較したものです。無給電素子と給電アンテナを強く電磁界結合することにより、無給電素子のもつアンテナ共振が加わることで、広帯域化とアンテナ効率の向上を実現できることがわかります。
図3 無給電素子結合デバイスによるリターンロスの広帯域化とアンテナ効率の向上効果(シミュレーション)
無給電素子結合デバイスによるアンテナ効率の向上効果により、アンテナ部の小型化をはかることができます。
一般的に、給電アンテナと無給電素子を並べて弱い電磁界結合のまま小型化すると、無給電素子とGNDとの結合が強くなり、給電アンテナとの結合がさらに弱まります。これにより、無給電素子のアンテナとしての機能が低下し、アンテナ効率が劣化することになります。
無給電素子結合デバイスは、無給電素子と給電アンテナとを強く電磁界結合させるため、小型アンテナに対しても良好なアンテナ効率を得ることが期待できます。
図4 アンテナ部の小型化と無給電素子結合デバイスによるアンテナ効率の向上効果(シミュレーション)
無給電素子結合デバイスを用いて無給電素子をアンテナに強く電磁界結合することでマッチングが改善します。
そのことにより、アンテナとモジュール間での多重反射を防ぎます。長いケーブルを使用した場合の挿入損失の影響を低減することができます。